八潮市立資料館「疫病と向き合う人びと」を見て

Information&Pick up Report

2022/03/17  更新

Category;ピックアップレポート  

3月13日まで展示されていた第46回企画展「疫病と向き合う人びと」を八潮市立資料館へ観に行きました。


入り口にはコロナウイルスの感染対策として、入館記録を書くようになっています。

特別展示室の撮影は禁止されていたので、階段の踊り場の壁面に展示されていたものを中心にお届けいたします。

無料で音声案内を借りました。展示されているのを読むだけではない情報も得られるので、受付で借りてみてくださいね。



階段の踊り場の壁面に展示されていたのは、「新型コロナウイルス感染症」に2年間向き合ってきた市や学校の取り組みや経過のわかる展示でした。

新型コロナウイルスがまん延し、世間でマスク不足が深刻となる中、当時の安倍首相が対策として発表・各家庭に2枚ずつ配布し世間を騒然とさせた布マスク「アベノマスク」の展示もあり、これが歴史の1ページに刻まれていくということなんだと実感した気がします。

市内の学校の臨時休業を知らせる配布物



公共施設の臨時休館のお知らせ

ステイホームで外出自粛により、大きく影響を受けた飲食店などの応援事業として行われた八潮市商工会の「八潮市テイクアウトデリバリー応援事業」のクーポン券



コロナ禍の中で縮小して行われた学校行事

手探りの中で始まったオンライン授業の様子

配信されたオンライン授業の動画が閲覧できるようになっていました。

特別展示室は撮影禁止のため、配布されていた冊子を参照しながら文章で紹介して行きます。

【プロローグ 見えない病と闘う】

人は未知のものに対して恐怖を抱くもの。目に見ることのできない病は恐ろしいものだったことでしょう。人々は病を鬼や妖怪がもたらすものと具現化し、それを退治することで不安を和らげようとすることが病と闘う一つの手段でした。

激しく嘔吐する男性の様子や、鬼や虎が人々を襲っている、薬品を吹きかけて退治しようとしている人の絵が印象的です。肥後国海の怪(アマビエの図)の展示もあり、一時期キャラクターとして持てはやされていた「アマビエ」を見ることができました。

【エリア1 疫病と信仰】

疱瘡や麻疹といった疫病が流行し、現在のように知識がなかったため、人々は村や家へ疫病が入り込まないよう、まじないや祈祷を行なって防ごうとしました。効果的な対策や治療法がなかったため病の神々を作り出し、絵馬や奉納をして病の恐怖から免れようとしました。

[八潮に残る疫病流行の痕跡]

八潮市内の江戸時代の疫病流行も、市内に残る古文書、石碑、絵馬などから知ることができます。流行の記録が残された文章、石造物に神様が彫られ村境に祀られたり、疫病退散の呪符を屋敷の入り口に貼ったり、神仏等に祈る人々の様子が垣間見られます。

目に見えないものから逃れるために、目に見えない神仏などの力に頼る人々によって多くの信仰が作り出されたとを感じました。

[病を除ける市内の祭礼]

現在も八潮市内で行われている蛇ねじりや獅子舞が豊作祈願だけではなく、悪疫や疫病が村へ入り込むことのないように行われてきたということで、紹介のビデオが上映されていました。蛇ねじり(小作田、鶴ヶ曽根上、鶴ヶ曽根下)や獅子舞(大瀬、二丁目)それぞれが非常にわかりやすく紹介されている貴重なビデオでした。

【エリア2 「衛生」の誕生】

幕末から大正にかけて、コレラが何度も流行しました。感染の原因となったのは、感染者の排泄物などによって汚染された水です。この時代の人々の間に「衛生」の概念が浸透しておらず、不衛生が原因で感染する病気が蔓延しました。

[コレラ感染の原因となった生活様式]

中川で洗い物をしたり川遊びをする、当時の飲み水として使われていた井戸水、農村地帯で畑の肥料として使われていた、し尿も感染に原因となりました。

[「衛生」の誕生と感染症対策]

コレラ大流行をきっかけとして、人々の間で「衛生」の大切さの認識が始まりました。明治期には衛生組合が設置され、明治30年(1897年)の伝染病予防法をはじめとする衛生に関する法も整備されますが、戦争や大震災、不況による社会的窮迫により、衛生行政が大きく前進するのは戦後まで待たなければなりませんでした。昭和30年以降の上下水道の工事により、水を感染源とする感染症患者は大きく減少しました。

人々の努力があり上下水道の設置が進み今の豊かな暮らしの基盤につながっていると便利な時代に生きる私たちは感謝したいと思いました。

【エリア3 近現代の医療】

[病を治す]

コレラ・痘瘡・腸チフス・赤痢など、法定伝染病が発生した場合は、家族に伝染しないよう患者な隔離病舎に収容され治療が行われました。しかし隔離病舎の設置が財政上厳しく、寺院を隔離所として仮隔離病舎で治療が続きました。

[八潮の医師と治療]

明治以降に市域の治療を担った医師には、八條村に岡田家(養神堂、のちに岡田医院)、八幡村に大内多門(藤村医院)、潮止村に大嶹正白がいます。特に岡田家の資料は八潮市資料館に伝わったものが多くあり、道具や医学書から当時の治療の様子が垣間見ることができます。

[病を防ぐ]

医療の発達に伴ってワクチンの開発や接種が進むと、病の発症や重症化を防ぐことができるようになりました。

日々目まぐるしく進歩している医学に私たちは救われています。医療の偉大さを感じ、医療関係者の方々に感謝して行きたいと思います。

[近代のパンデミック]

近代において最も猛威をふるったインフルエンザはスペインかぜと言われます。現在は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックのさなかにあります。人々はパンデミックのたびにワクチンの開発や接種、手洗いうがいやマスクの着用など個人での予防対策に努めました。

【エピローグ 新型コロナウイルスと向き合う】

本文中の太字部分は企画展で配布されていた冊子を抜粋させていただきました。

特別展を拝見して、昔の人々は目に見えない病と闘うために知恵を使って、神仏に祈願したり、厄除けの儀式や石造物などを使って、不安を和らげたり、恐怖から免れてきたことを知り、今に残る神仏や祭礼の意味を理解することができました。時代が進み、原因がわかってきて、病を防ぐことができるようになってきました。今、私たちができることをやることが大切だと感じました。そして医療に携わる方々への感謝も忘れずにいたいと思います。

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