Information&Pick up Report
2025/12/05 更新
Category;ピックアップレポート
青いワゴンでやってくる “ブルーバードブックス”
――あなたのそばに、本との出会いを届ける書店
八潮市内で本屋さんが少なくなってきた今、「それでも本と出会える場所をつくりたい」と走り続けている移動販売の書店があります。
夏の夜、夜空のマルシェで青いワゴン車いっぱいに本を積んで販売していた、あの本屋さん。
ブルーバードブックスさんにお話を伺ってきました。


取り扱いは主に中古の本。
絵本のなかには新品もありますが、基本は「誰かに読んでもらえたら嬉しい本」を中心にセレクトしているそうです。
毎回テーマを組んだ棚づくりというより、
「売れた本の分だけ、また違う本を補充する」
といった、新陳代謝の良いラインナップ。



季節ものは、11月にクリスマス絵本をまとめて持ってきて、12月5日時点では“残りわずか”。追加で補充して来年まで持ち越す形はとらず、常にフレッシュな棚になるよう工夫しています。
お客さんからリクエストがあっても探すのが難しいのが「ハロウィンとは何か」を説明してくれる本だそう。
クリスマスは宗教色が濃くても本の数は豊富ですが、ハロウィンは日本で広く浸透したのが近年のため、子ども向けの解説本が非常に少ないとのこと。
そんなとき草薙さんは、
ディズニー映画『リメンバー・ミー』の本を紹介することもあるそうです。
文化の背景が丁寧に描かれていて、理解の助けになるからです。

本には青いチケット型のしおりで値段が挟んであります。
250円、550円、850円〜など、とてもリーズナブル。
私が購入した本は、定価760円 → 400円、定価680円 → 250円でした。
1冊だけでなく2冊、3冊とつい手が伸びてしまう価格。
子どもたちも“自分のお小遣いで買える本”として人気があるそうです。

草薙さんは前職、大学図書館で働いていました。
コロナ禍で利用者が激減したとき、
「人が来ないなら、こちらから本を届けに行こう」
という思いが芽生えたそう。
2021年、店舗を持たず、移動式の本屋としてスタート。
「図書館が無料だからと嫌う書店もたまにあるけど、私は賛成です。興味の入口が広がるから。本棚がパンパンになってお母さん困っちゃうでしょ」と笑いながら話してくれました。

公園へ来たついでに、買い物の帰り道に、ふっと本屋さんがある。
そんな偶然の出会いを大切にしたい、と草薙さん。
ベンチでそのまま読みはじめる人も多いそうです。
取材中、午前は静かだったものの、お昼を過ぎるとぽつぽつとお客さんが。
朝に見かけて気になって、帰りに寄っていく方もいるとのこと。
生活のリズムの中に本屋さんが寄り添っているのを感じました。

ブルーバードブックスさんのレシートには、こんな言葉が。
「お腹がすいたらご飯を食べるみたいに
喉が渇いたら水を飲むみたいに
見たいこと、知りたいこと、読みたいことがあるかもしれません」
「扉もない、壁もない。
空の下で、風を感じながら本を選んでください」
本を“特別なもの”ではなく、
日々の生活の延長にある楽しみとして届けたい。
その思いがぎゅっと詰まった言葉でした。

12/5(金曜日)10時30分から18時
八潮市・ワークステーション
12/6(土曜日)10時30分から16時
そうか公園
12/10(水曜日)12時から18時
三郷市早稲田 高応寺
12/11(木曜日)12時30分から19時30分
吉川美南不動産
12/13(土曜日)11時から18時
市川市八幡・戸建サロンスクラレア前
12/14(日曜日)10時から16時30分
みさと公園
12/21(日曜日)10時から17時
亀有神社マルシェ
12/25(木曜日)12時30分から19時30分
吉川美南不動産
12/26(金曜日)10時から16時30分
みさと公園
12/27(土曜日)10時30分から16時
そうか公園
12/28(日曜日)10時30分から16時
みさと公園
12/30(火)10時30分から16時
そうか公園

移動販売の書店が集まり、
おはなし会やアウトドア体験も楽しめるイベントです。
詳しくは公式サイトにて。
https://misatobookmarket.jimdosite.com/
八潮や近隣エリアに、こんなふうに“本との出会い”を乗せて走る青いワゴンがあること。
なんだか心が温かくなる取材でした。
気になる方は、ぜひ今月どこかの公園で見かけてみてくださいね。
きっと、あなたの手にしっくりくる一冊に出会えるはずです。