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2019/11/03 更新
Category;ピックアップレポート
この写真、どこで撮影されたものでしょうか?
これは、八潮市大字二丁目にある「八潮市潮止揚水機場記念ひろば」の写真です。この写真に写っているものは、中川から農業用水を引くために使われていたポンプです。この揚水機場は1929年(昭和4年)に当時の村長だった田中四一郎村長と村民が一体となって作られました。その物語がこの度、小学生にもわかりやすい紙芝居となりました。
10月26日(土曜日)、八潮市立資料館で開催中の企画展「田中四一郎 自治の権化と呼ばれた男」の中で上演された紙芝居「村長さんとポンプ」を見てきました。紙芝居の作家である、おきつけいこさんが演者として読み手を努めてくださいました。とてもわかりやすい表現で話の中に引き込まれていきました。今では水田は少なくなり、すっかり住宅街となりましたが、このポンプは1929年から2001年までの73年間もの間、八潮市東南部の田畑を潤す大きな役割を果たしました。
紙芝居の最後に出てきた村のレンガ工場にもらったレンガで作られた潮止小学校の赤門
潮止小学校の隣にあるJAさいかつ潮止支店にある田中四一郎翁銅像
住んでいる地域に残る歴史あるものを見かけたことあるー!と身近に感じた小学生もいて前方の方では声が上がっていました。
また、八潮市の市制20周年を記念して発刊され、八潮市域に伝承されてきた昔話のうちから20話が採録されている「八潮のむかしばなし」という記念誌より「がけ溜だめのお先さきさん」というお話の紙芝居も同時上演されました。後日、小学生の息子と歩いて天気を気にしていると「天気がわかりやすいように今もキツネがいればいいのにね」なんて言っていました。記念誌を読むと少し難しい文章ですが、紙芝居は小学生の心にも残ったわかりやすいものでした。
地域のお話に興味がありましたら、「八潮のむかしばなし」は各学校の図書室や市立図書館にも所蔵されていると思いますので、借りてみてくださいね。
田中四一郎氏の話を紙芝居にまとめるにあたり、たくさん伝えたいことがあるけれども、わかりやすくするために文章を少なくしなければならなかったことが一番苦労したと作家のおきつさん。「村長さんとポンプ」の上演を終えて、田中四一郎さんの孫にあたる田中栄一郎さんは「八潮の中でも潮止村に水が不足していたということは知っていたけれども、水不足がきっかけで村民とお金を作って、それを基盤にして揚水機場ができたという流れは今回初めて知りました。紙芝居の上演を見てインパクトを受け確信しました。祖父(田中四一郎氏)と父が亡くなって周りから聞くことの方が多いです」と話してくださいました。
この紙芝居上映にあたり、田中四一郎さんの近所に暮らしていた大勢の方達が参加してくださいました。企画展を特別に資料館の館長さんが解説しながら見学していくと、「嫁に来た頃、よく縄をなったよ」とその時代を共に過ごしていた方の昔懐かしの記憶からの生の声を聞くことができたり、とても貴重な体験でした。高齢者が昔を思い出しながら見られる展示を若い世代の人が一緒に見て、当時の話を聞ける機会が増えればいいのになと感じました。
企画展「田中四一郎 自治の権化と呼ばれた男」は、まだまだ開催中です。→こちらを参照
資料館1階に紙芝居が全編展示されていますので、ぜひ一度、足を運んでみてください!