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2023/01/22 更新
Category;ピックアップレポート
町工場モノ作り集団DekiTech「デキテク」
八潮市の皆さんは、中小企業・小規模事業所の経営者達が立ち上げた【異業種コラボ集団】DekiTech「デキテク」をご存じですか?
「デキテク」の数社はDekiTech合同会社という名称で八潮市に本社を置いています。
八潮市の企業も数社参画して活躍されている町工場モノ作り集団DekiTech「デキテク」は、「ものづくりのまち 八潮」にとっても、一つの注目される取り組みであります。
そんな「デキテク」さんについて八潮市ちゃんねるからご紹介したいと思います!
町工場モノ作り集団DekiTech「デキテク」
名前の由来は、モノが出来る+技術(テクニック)の造語。
「デキテク」は2017年、法人化の代表社員である八潮市の事業者中村さん(有限会社ジェイクラフトマン)が当時入会していた“埼玉中小企業家同友会”の製造業仲間へ声を掛けてスタートしました。
埼玉県東南部の小規模・中小企業の経営者たちの集まりです。
現在は10~15社くらいが不定期に参加しており、主力のアウトドア製品を製造しているコラボレーション・ユニットは7社になります。
その7社の利益管理をする目的で2020年に法人化をされました。
「デキテク」は活動するグループの総称ですが、
今回法人化したコラボレーション・ユニットはコードネーム“鉄男部”と名乗られ、鉄製品を作る事に特化しておられます。
コードネーム“鉄男部”
八潮市からは現在、有限会社ジェイクラフトマンさん、有限会社赤塚製作所さん、株式会社ワイ・エス・エムさんが参加されています。
有限会社ジェイクラフトマンさん、有限会社赤塚製作所さん、株式会社ワイ・エス・エムさん
「デキテク」について、法人化の代表社員の有限会社ジェイクラフトマン中村さんにお話しをお伺いしました。
外部環境に影響を受けやすい小規模・中小企業の課題は“社員や職人の高齢化”、“多様化する商習慣”、“下請けからの脱却”など共通する事が多く、今後の事業展開においては避けて通れない課題でもあります。
その為にもまず経営者としてやるべきことは“経営理念”を作り、“誰の為に何をするのか?“をよく考え、それを社員と共有し実践する事が大切であると、「デキテク」の皆さんは強く感じておられるそうです。
経営者自らが輝く存在になり、その背中を社員に見せる事が社員の成長に繋がり、会社の発展に繋がるとの思いで活動をされています。
中村さんは、「ローマの帝王学の書物にはIL BELO DOROSO(イル ベロ ドロソ)とのあとがきがありまして、日本語に直訳すると“美しい背中”という意味です。世界最古の経営書にも背中を見せる事の重要性が説かれています」と教えてくださいました。
中村さんがおっしゃるには、企業のコラボ事業というと利益ばかりを追求する傾向が多く、受発注関係が生じ、多くは上下関係の垂直型の関係になりがちなのだそう。
そうなると、利益の多寡で争いが生じてしまうことが多くなるので、「デキテク」は“水平分業”を提唱しており、製品の開発から製造販売までを、係る企業が全社で分担し、初期投資も回収利益も均等に分配する仕組みを取っているのだそうです。
「デキテク」の姿勢
・・・以上のようなプロセスを経て開発から販売までをメンバー自身が自ら行う事で、中間マージンを削り各社が適切な利益を載せて販売する仕組み作りを実践されています。
その結果、「デキテク」のメンバーは、元受けに左右されない価格決定権を持つことが出来ました。
町工場モノ作り集団DekiTech「デキテク」
「デキテク」は現在はアウトドア製品を主に開発販売しており、独創的な機能とデザインを持つことが出来たことで、競争相手の少ない“新市場創造”を実現しています。
各社が一社で行うと開発費・製造管理・販売管理・集金管理などの手間暇が掛かりますが、水平で分業する事で各パートの手間を省力化し、開発販売が効率よく回り始めているそうです。
中村さんとメンバーの皆さんは、今後は「デキテク」の経営理念を成文化し、市内や近隣市に多くの同志を増やし、新しい産業STYLEを構築したいという展望をお持ちだと、話してくださいました。
アウトドア製品が主力製品
DekiTech人気製品ZEROPOD38+ZEROCO38と人気のGOAL ZERO Lightのセット
当初は20社~30社ほどが入れ替わり参加していらしたそうです。 主な活動としては、以下のような内容でした。
(1)各社への訪問見学 (2)月1回の会合 (3)産学連携などの模索
まずは、メンバー各社が持ち合わせる技術や設備を理解するために相互見学会を行ったそうです。
これは非常に興味深いですね!
自分たちにはない設備や技術を目にしたり工場や工房を見学して製作フローを見るというのは得るものが多そうです!
時には同じ志を持つ他県の活動へ参加したり、交流の為に遠征もされたそうです。
次に、メンバー各社へ飛び込んで来る案件で、各社が自社で対応できないような案件をグループで対応する事を始められました。(産学連携など)
月に1回は夜集まって会合も開き意見交換や開発案件を持ち寄っては、メンバーの皆さんで想像をめぐらしていたそうです。
しかしながら、案を披露したり夢を語る事は出来たとしても、なかなか思うように前へは進まずに数年が経っていきました。
次第に考えが異なる企業はそれぞれの道へと歩んでいき実践向きの少数精鋭企業が残ったそうです。
意見交換会
そんなある時、残った経営者に開発の“お題”と“納期”を課して交流のキャンプへ行くことになりました。
その時の“お題”は“焚火”だそうで、埼玉の某キャンプ場にて試作品の発表会が行われました。
この時の試作品発表会がきっかけで、各社のスイッチが入り製品開発に必要な市場リサーチや、試作開発する時間を作る事や、いつまでにやらなければならないという義務意識が芽生えたそうです。
その過程で、新しい仲間を迎える事も出来て共同の製品化がかなり具体的になっていきました。
販売するにあたり、コスト管理(見積意識)や、販路の検討なども共に学び、各社は自社のECサイトを自身で作り、運営するまでに至ったようです。
あちこちでデキテク製品のブース展示
主力メンバーの社業である“縫製関係”“溶接、板金加工”が得意分野とのことです。
現在はアウトドアに特化した製品作りをされていますが、アウトドアに限らずいろいろな製品をつくっていきたいと意欲を皆さんお持ちです。開発製作のネットワークを構築しているので“出来ないを言わない”がモットーなのだそうです。
右が38GT310、左がA38grate BK
「デキテク」の主力製品は、2022年に八潮市商工会の“八潮市推奨品”に認定され広く認知され始めました。
ソロキャンプ用マルチ携帯テーブルA38grate
A38grateとST310バーナーをジョイントするキット38GT310
行政からも“ふるさと納税の返礼品”の話があるとのことですし、今後は八潮市の顔と言えるような製品作りをされていくことが期待されますね!
中村さんやメンバーの方々は、「デキテク」の仲間を八潮市内でもっと増やし、市内の企業がコラボレーションした製品をたくさん展開できることを願っておられるそうです。
高度成長期を経て衰退期に入っている日本においては、様々な課題がひしめいていて、中小・零細企業は存続の危機を迎えています。
M&Aなどで企業を売却したり、業績は黒字にも係わらず人材不足で廃業せざる得ない状況であったり、仕事はあるが仕入れが困難になってきており受注出来ないなど製造業に関しては特に、苦難の時代となっています。
一方、アジア他国は人口も増えまさに高度経済成長記を迎えており、技術力も日本を凌駕するレベルです。
民主社会においては企業の競争は常ですが、発想を少し変えて競争せずに“水平分業”する事で活路が生じるのではと、中村さんは考えておられます。
一言で“水平分業”と言っても、活動自体は非常に難しい課題が多く、参加企業の活動への理解と共感を得られなければ成しえない事業。
そのような難しい課題をクリアできる参加企業は、“水平分業”を成す事の出来る企業としての志のある付加価値を持っていることになります。
“水平分業”ができる企業体こそが志を高くもつ、社会的にも認められる企業であり、これからの時代に必要なのだと、中村さんは語ってくださいました。
デキテクのメンバー
SDGsの目標:8※1
「働きがいも 経済成長も」
において、各社が社員の働き甲斐を上げる事に成功されているそうです。社員の方々も一丸となって開発に携わり、販売を率先して行っておられます。
SDGsの目標:9※2
「産業と技術革新の基盤をつくろう」
においては、“水平分業”の企業間コラボによる産業の構造改革を推進中です。
SDGsの目標:17※3
「パートナーシップで目標を達成しよう」
においては、地域経済の担い手である町工場がパートナーシップを結んで、目標を達成しております。
代表となる製品“A38grate”
「デキテク」の代表製品は“A38grate”です。
これはソロキャンプ用の多機能マルチテーブルで、収納性、拡張性に優れています。
このキャンプ用多機能テーブル「A38grate」は、2021年に八潮市推奨品に選定されました。
ソロキャンプ用の多機能マルチテーブル“A38grate”
発売依頼、瞬く間に人気が上がり「デキテク」では月産300個から500個まで増産体制を組みましたが、当初は売切れ入荷待ちが続いてしまっていました。まさに嬉しい悲鳴です。当時16,000円(税別)の製品がメルカリなどのサイトでは最大80,000円を上回る額で転売される事態にまで発展してしまっていました。
現在でも新製品を発表すると発売と同時に数分で売り切れるほどの人気ラインナップです。コロナ禍であっても、アジア各国においても売れ行きが好調で、現在は韓国、中国、台湾、香港へも供給しているほど。
さすが、腕利きの高い技術をもったモノづくりの企業たちが様々に技能を凝らして作り上げた製品です。それはそれは細部まで抜かりのない洗練されたクオリティの商品になるわけです。
商品は最初はメンバー企業7社による自社サイトや、イベントでの手売りがメインでしたが、現在は法人化後に全国の小売店へ卸売りをしているので、皆さんもあちこちの小売店で見かけることがあるかもしれませんね。 広くいろいろな人に手に取ってもらう機会が増えたわけです。
A38grateと燃焼器具(SOTOバーナー製ST310、アルコールストーブ)をジョイントする多機能KIT
現在主力のアウトドア製品には、ファミリーキャンプを卒業した中高年キャンパーや、モノへの拘りの高い製品愛好家の方々などのファンが多くいます。
本当の価値が分かる、いいものにはお金を出しても構わないという一部のマニアが気に入ってくれているそうです。
もちろん、それはとても有難く非常に喜ばしいことですが、今後はターゲットをファミリーや気兼ねないグループの方々など、いろいろな方々にも使っていただけるアウトドア製品の開発も視野に入れていらっしゃるそうです。
「デキテク」のメンバーにとっては、製品全般に共通するゴールは、もちろん“お客様の笑顔”。 お客様の声を聞き、更なる製品の改良や改善を行い、広い世代のお客様に愛され、楽しんで喜んでもらえる商品作りを目指したいそうです。
A38grateと燃焼器具をジョイントする多機能KIT
キャンプ用品がヒットした「デキテク」ではあるものの、コラボレーション事業ならではの悩みや課題もあるそうで・・・。
例えば、コラボ事業なので、出来るだけ製作が参画企業内で完結できれば良いけど、自社完結しない場合は外注を使う事もあり、その辺の品質やコストの管理が難しい、など。
また、これまでは各社製造業だったので末端の顧客との接点がなく顧客管理という意識が無かった「デキテク」ですが、卸売りをする上で非常に大切な事だと今回気づきがあったそうです。
今後はお客様目線での販売方法を考慮していきたいとおっしゃっておられました。
社長が楽しんでモノ作りをする姿を見せ、それを見た社員が興味を抱き真似をし、一人二人と広がっていけば、自主的に改善や応用を行う事ができ、社員と会社の成長に繋がる・・・。
それを実際に目の当たりにできたことはこの上ない喜びと語る中村さん。
今後「デキテク」では、活動理念を誰にでも理解できるように成文化し、この仕組みや取組を広げていきたいそうです。
その結果、経営者の成長、社員の成長、企業の成長が強みとなり、その先にはmade in Japanではなくmind in Japanの企業を増やしていきたいと考えておられます。
アイデアはあるが資金のないクリエーターを支援していくことが自分たちのミッションであると認識されているので、今後は活動の認知度を上げ、一人でも多くのクリエーターを発掘支援していきたい、と教えてくださいました。
八潮市推奨品と展示会
素晴らしい活動をされている「デキテク」さん。今後もさらなるワクワクするようなご活躍を、心より応援いたしております。
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会社名:
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〒340-0815 埼玉県八潮市鶴ケ曽根1490-5 藤波ビル1階
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